そもそも、どうして商法においては、自殺の場合にはその時期に関係なく、保険金を支払う必要はないと定めているのでしょうか。
生命保険は死亡の際に保険金を支払うという保険なわけですから、自殺だからといって例外とするのは、少しおかしいような気もします。
実はこれには、いくつかの理由があります。
ひとつには、自殺を利用して不当に保険金を稼ぐということを防ぐためです。生命保険というのは、万が一、死んでしまったら、という前提で契約がなされています。
日常生活の中で、不幸にも亡くなってしまったら、ということで保険金や保険料を設定しているわけです(ですから、前述した通り、戦争や災害などの場合は、保険金支払いの対象から外されています)。
もしも最初から自殺する気で契約するのなら、この大前提が崩れてしまいます。
保険会社の方では保険料や保険金の額を、平均寿命や病気等のデータをもとに算出して、商品として成立できるようにして販売しているわけですが、自殺というのは、偶然事故にあったり、不幸にも難病にかかったりというのとはわけがちがいます。
偶然による死を前提としている生命保険にはそぐわない、という考え方なのです。
また、契約者間の信義に悖る(もとる)、ということも、理由のひとつとして挙げられるでしょう。
保険会社は万一のための備えとして生命保険を提供し、被保険者は万一のための備えとして生命保険に加入する、これが契約者間の暗黙の了解事項であり、そうと知りながら最初から自殺を前提に保険に入るということは、契約者として信義に反する行為だ、というわけです。
少し理解しにくいかもしれませんが、上記のような理由で、商法においては自殺に関するケースでは、その時期を問わず、保険金を支払う必要はないと定めているのです。
